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教職員<本の紹介コーナー> 大西千佳先生

2010年05月08日

昨年度中断していた「教職員の本の紹介」コーナーを再開しました。
再開第1回目は大西先生による本の紹介です。
掲載については不定期になりますが、年に数回のペースで継続していく予定です。

今回ご紹介する書籍は下記3冊です。
・「無思想の発見」 養老孟司著 筑摩書房 2005年(ちくま新書)
・「バンカーなんか怖くない」 喜多嶋隆著 光文社 2008年(光文社文庫)
・「痛みとはなにか 人間性とのかかわりを探る」 柳田尚著 講談社 1988年(ブルーバックス)




★今回の担当教員:大西千佳

早いもので、こちらに掲載させていただく原稿も3本目となりました。
月日の流れに己の成長が追いつかない葛藤の日々ですが、
ひと息ついて本を紹介させていただきます。

  oonishi2010aa

まずは、相変わらずの自称“養老フリーク”からお約束の一冊、養老孟司「無思想の発見」です。今作では、日本の風土と伝統が生んだ「無思想という思想」を、いつもながらの養老節でバッサバサと論じ倒していきます。全編興味深い内容でありますが、心に残る論点は、比叡山の千日行(叡山の山中を千日、ただひたすらに走り回る.それを終えると“大阿闍梨(だいあじゃり)”という称号がもらえる)を引用した「自分を創る」作業についてです<以下、抜粋>。『千日行は誰に頼まれたわけでもないし、そんなことをしてもなんの意味もないのだが、走り回った挙句の果てに本人が変わる、つまり修行のあとに出来上がる唯一の作品が本人であり「自分を創る」ことである。自分とは「創る」ものであって「探す」ものではない。それが大した作品にならなくても仕方なく、そもそも大したものかどうかそんなこと、神様にしかわかるはずがない。それがわかったらもう個性とか、本当の自分とか、自分に合った仕事とか、アホなことは考えず、どんな作品になるかわかりゃしないのだから、ともかくできそうな自分を「創ってみる」しかない。
そのために大切なことは、感覚の世界(具体的な世界)を身をもって知ることである』と。
 まだまだ修行が足りない私は、とにかく難しいことなど考えず、走り回るしかなさそうです(笑)。

oonishi2010b

養老節に頭が疲れた時、そして日常からの逃亡(笑)には、喜多嶋隆がお薦めです。
ハワイ好きの私に、友人が勧めてくれたのがきっかけで、独特の「喜多嶋ワールド」にはまってはや20年です。
少し出来過ぎなストーリーではあるものの、主人公(何故かほとんどが女性、舞台はほとんどハワイ)が人と出会い、いろいろな出来事を経て成長していく様を、スピード感溢れる文体で、もの凄~く爽やかに描いていきます。
最近、ゴルフブームですので、今回はゴルフを題材にしたシリーズの2作目、「バンカーなんかこわくない」を紹介します。読み終わった後の、なんとも云えない爽快感にはまった私は、1年に3~4冊出版される単行本をためておき、夏の海で寝っころがって読んでいます。波が上がって仲間が海に入っていっても、ついつい読み続けてしまう今日この頃。おかげで波待ちサーファーならぬ、完全な丘サーファーになってしまっています。

oonishi2010c

「あなたの仕事は何?」となりそうなので最後に1冊。
古い本ですが、「痛みとはなにか」です。
スポーツの世界で「心」「技」「体」は言わずと知れた常識ですが、
我々あはき師が相手にするのは患者さんや選手の「痛み」「苦痛」「違和感」でしょう。
治療が終わって「楽になった」と言ってもらえるべく、最大の苦痛であろう「痛み」の性質を、
人間性との関わりから論じている本です。
 患者さんの望む治療が提供できるよう、どんな作品:お~にしが出来るか、全くもってわかりませんが、
わからなくてもへこたれず…わかろうなんて思わず…焦らず…、
感覚の世界にドップリ浸りながら、軸だけはブラすことなく!時々(いつも?)海で寝っころびながら、
学生さんと一緒に前に進んでいけたらと思っています。
 『素敵な夏を過ごしましょう!』
 

oonishid

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