トップ 東洋医療総合学科について

東洋医療総合学科について

鍼灸マッサージ師には、どのような活躍の場がありますか?

スポーツ分野としては、プロ野球やJリーグ、各スポーツの日本代表などトップクラスの選手からスポーツジムなどのスポーツ愛好家の方々まで幅広く対応します。共通していることは、鍼灸マッサージの施術だけではなく運動処方を加えたコンディショニングを整える事です。
鍼灸マッサージ施術+運動処方を行うことで痛みなどを改善させ、運動パフォーマンスの向上に努めます。治療が出来るトレーナーは、選手から信頼を得やすいです。

美容分野としては、顔のツボなどに対しての鍼マッサージがあります。「顔に鍼??」と驚く方が多いと思いますが、たるみやシワを目立たなくし、小顔効果まであります。化粧品やエステのように肌表面からのアプローチではなく、組織や細胞、血管や神経を刺激して体の内側に働きかけ、新陳代謝を促します。肌本来の回復機能を活性化させ、アンチエイジングへと導きます。

福祉介護分野としては、在宅マッサージやデイサービスなどが活躍する場です。在宅マッサージとは加齢による歩行困難(足腰が悪くて歩くことが困難な方)などの患者様に対し自宅へお伺いしマッサージを行います。デイサービスとは、要介護になった患者様に対し、機能訓練(体操など)を行う施設で、マッサージ師として機能訓練を行います。寝たきりを防止し、元気なお年寄りの方が増えれば医療費削減にもなります。今後の高齢化を考えると非常にニーズがある分野です。
これらの機能回復訓練に掛かる利用料に保険を適応するには、マッサージ師の国家資格が必要になります。
 
病院の中では、整形外科分野に従事する鍼灸マッサージ師が多いです。医師から診断された疾患(腰椎椎間板ヘルニアなど)に対して施術を行い、痛みやしびれなどを除去していきます。患者一人に対し医師、PT(理学療法士)、看護師などチーム医療の一環として威力を発揮します。

産婦人科分野では、不妊治療があげられます。昨今晩婚化の傾向から赤ちゃんがほしくても出来ない「不妊症、不育症」で困っている患者様が非常に多いです。鍼灸マッサージは妊娠しやすい体をつくります。具体的には自律神経を整え、不妊の大きな原因となる冷え症を改善し妊娠力を上げます。婦人科では女性特有の症状である、月経痛や更年期障害にも効果を発揮します。

最後に治療院開業という独立の道があります。どのような治療院にするかはその人の考え次第です。上記で挙げたスポーツ、美容、介護など様々に特化させることが可能です。共通していることは患者さんの健康をサポートすることであり、その為には知識、技術を追求する努力が必要です。開業することで、定年もなく自分のライフスタイルに合わせて働くことが可能です。

「はり師」「きゅう師」のほかに、「あん摩マッサージ指圧師」の資格を持っていると、どんな点でメリットがありますか?

近年、東洋医療に対する社会的ニーズは多様化しており、人々の健康志向とも相まってスペシャリストとしての治療家への期待が高まっています。治療の目的は様々ですが、その方法として、はり・きゅうとあん摩マッサージ指圧があります。治療による改善目的に合致して、その方法を選ぶということになりますが、はり・きゅうしかない場合は、方法が二つになるので、その適応から外れたり、ニーズがあん摩マッサージ指圧であった場合に、方法がなくなります。治療の幅を広げ、社会ニーズに応えるためにも三つの資格は必要不可欠です。

また、高齢化社会の中で、あん摩マッサージ指圧師は介護保険の分野で活躍しています。介護計画を立てる「ケアマネージャー」、デイサービス等の施設では「機能訓練指導員」として活躍しています。そして、病院や診療所等においては診療報酬算定の枠組みの中で、あん摩マッサージ指圧治療は、注射や投薬等の処置と同様に「消炎鎮痛等処置」という治療項目の中に、マッサージや温熱療法等が包括され、医師の処方の下に治療が行われています。それ故に、将来の就職にもたいへん有利です。

鍼灸マッサージ師と柔道整復師との「仕事の違い」について教えてください。

柔道整復師は、西洋医学の考えに基づき、捻挫、打撲、挫傷と医師の同意のある骨折と脱臼に対して保険施術(受領委任払い制度)が行える国家資格です。運動器に加わる損傷に対し、骨、関節、軟部組織などの変化をいち早く発見して、整復や固定などによってそれらを正しい位置に矯正するための施術を行います。

鍼灸マッサージ師は、東洋医学の考えに基づき、人の体を全体としてとらえ、全人的に治療します。「パーツでなく全体を治す」この考え方に基づいて、経絡や人の体に約361あるといわれる経穴(ツボ)に、鍼や灸あるいは手を使うあん摩マッサージ指圧で刺激を与え、自分の体に備わっている自然治癒力を高める治療です。つまり、体全体のバランスを健康な状態に戻そうとする医療とも言えます。鍼灸治療の効果がある病気には、運動器系、神経系、呼吸系などの疾患が多く、老人性疾患や難病も含まれています。WHO(世界保健機関)やNIH(米国立衛生研究所)なども鍼の効果に着目していて、吐き気・嘔吐、頭痛、腰痛、変形性関節症などに鍼が効果的だという研究も多くみられます。近年は、東洋医学に限らず現代医学的な鍼灸もあり、また、研究も進んでおり、条件付きで保険施術(医師の同意書が必要)も可能です。

鍼灸マッサージ師の専門学校は全国に何校ありますか?

「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」の三つの国家資格を同時に取得できる学校は、全国で19校。
「あん摩マッサージ指圧師」だけを取得できる学校は、全国で3校。
「はり師」「きゅう師」の二つの国家資格を同時に取得できる学校は、全国で約100校です。
また、教育の質が高く施設も充実している厚生労働大臣認定の学校で「公益社団法人東洋療法学校協会」の審査を受け加盟している学校が43校です。当学園も加盟校です。

鍼灸マッサージ師と整体師は違うのでしょうか?

一言でいうと国家資格の有無です。

鍼灸マッサージ師(正確にはあん摩・マッサージ・指圧師、はり師、きゅう師)は国で定められた医療従事者としての資格であり、養成学校を卒業し国家試験に合格しなければなりません。養成学校では国で定められた単位を修得しなければならず最低3年間在学が必要です。また開業する際にはあん摩マッサージ指圧、はり、きゅう治療院として保健所に届け出をします。

整体師とは国家資格でない民間資格であり、リフレクソロジーやカイロプラクターの方も含みます。よって養成学校で定められたカリキュラムを修得すれば取得可能です。開業する際には届け出義務もありません。鍼灸マッサージと称する事が法律上出来ないことから「ほぐし」や「整体」などの名称にて開業しているところが多いです。

「あん摩」「マッサージ」「指圧」の違いについて教えてください。

「あん摩」は、中国が発祥の施術法で、奈良時代にはすでに中国から日本に伝わっていました。その後、独自の発展を遂げ、江戸時代には盛んに行われていました。
衣服の上や、手ぬぐいの上から、「もむ・さする・たたく」などの手技を行います。
元来「あん摩」は、東洋医学の思想を基にし、経絡や経穴を刺激し、身体の「気や血」などの流れを調整します。現在は、西洋医学思想も取り入れ解剖学・生理学を基にし、身体を調整する施術方法も行っています。

「マッサージ」は、ヨーロッパで発祥、発展し、明治になってから日本へ伝わりました。
マッサージは、オイルやパウダーなどの滑剤を用いて皮膚へ直接施術を行います。基本的に、身体の末端から中心に向かって刺激し、静脈やリンパ液の巡りや、新陳代謝を改善し、全身の状態を調整します。

「指圧」は、あん摩・呼吸運動法・柔術の活法などを基にして日本で発祥しました。明治時代以降に、海外から伝えられた、カイロプラクティックやオステオパシーなどの方法も取り入れることで改良され体系化されました。押圧操作という手技を基本としています。これは、皮膚に対して垂直に一点圧を加えることで、体表面に現れた内臓や筋肉の反応点を刺激し全身機能を調整します。

マッサージ(「あん摩・マッサージ・指圧」などの手技療法)は何に効きますか?

まず、手のみで治療する手技療法について。
「あん摩」の、あん(按)は、「おさえる」「おす」という意味があり、摩は「なでる」という意味があります。
マッサージの語源は、アラビア語のMass「おす」とギリシア語の Sso「こねる」といわれています。
つまり、東西問わず、痛いところなどがあれば、本能的に手でおさえ、なでさすり、もむことで痛みなどを和らげていたということです。
「あん摩・マッサージ・指圧」は、“手当て”という自然発生的な行為が、徐々に体系化され、治療行為として発展したものです。

では、どのような痛み・症状に効果があるかと言うと、肩こり・腰痛に効くというのは、想像しやすいと思います。
凝り固まった筋肉に対して刺激を与え、筋循環を改善することが出来ます。
効果としては、それだけでなく内臓器に関する症状についても効果があります。
体内の内臓器などの状態は、神経を伝わって、身体の表面に様々な症状として現れます。ですので、身体の表面に現れた症状部分に対してマッサージを行う事で、神経を伝わり、内臓へと影響を及ぼすことが出来るのです。

マッサージでも、鍼灸と同じように様々な疾患に対して効果を出すことができるのです。