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教職員<本の紹介コーナー> 内田真弘先生

2011年11月04日

教職員[本の紹介コーナー] 第8回 内田真弘先生

今回登場していただく内田真弘先生は
神奈川衛生学園の附属施設である横浜国際プール内の「はりきゅうマッサージ室」の室長です。
当校では、毎週金曜に「あん摩マッサージ実技」を担当し、課外授業の「PNF」も担当しています。
とてもユニークな先生です。どんな先生かは今回の文章からイメージしていただければと思います。


内田先生

今回私が紹介するのはこの4冊。
「強いものは生き残れない」
「ゲシュタルト療法」
「脳の中の私はなぜみつからないのか」
「アフォーダンス入門」
これだけ読んだらこれと医学がどうつながるの?と思われるかとおもいます。
ゲシュタルト療法やアフォーダンス(生態心理学)はまだよしとしてもほかは
生物学、進化学、ロボティクス研究と一見何の関係もないように思えますが、
東洋医学とは生物学、進化学を基本としていると私は考えています。

実際、五臓六腑なんていうのは心と精神という現代科学が一番苦手する部分を見事なまでに説明しているからです。
昔は科学がまだ未成熟でした。しかしその分、生き死にという自然界の基本を理解しておかなければ生き残れないという デッドオアライブを現代人より理解ではなく感じ取っていたからです。
人間を中心として外部環境を考える現代的思想。自然を中心として人間は食物連鎖のなかの一部分でしかないと考える思想。科学とは人間の都合を都合よく変えていく学問です。
「失敗は発明の母」と言われるように不都合を都合にとりかえる。
これを繰り返し今のような近代文明を手に入れたのです。これは生物の進化の歴史とよく似ています。
しかし大きな違いがあるのです。
そのことがこの4冊にかくされているのです。
私の講義には「人間とは何か」というテーマが隠れています。
人間という動物の基本的なことがわからなければ人間が引き起こす「病」や「怪我」の本質が
わからないからです。
科学のとらえかたでは因果関係 つまり原因と結果の単純な関係性を持って理屈を説明、証明する学問です。
しかしこの因果関係は自然界ではより複雑になります。
実験室のような不自然かつ自然界ではありえない状況下での実験には、この特殊(不自然という)な条件が必要となります。しかし我々は実験室のなかでは生きていません。
因果の法則に重要なのはこの単純な原因=結果ではなくこの原因=結果に作用する条件なのです。
これを食べると頭がよくなる。朝バナナを食べたら痩せる。
こんな単純な方式を望むのは現代人の傾向のようです。
難しいことは考えなくていい。マニュアル的思考。
自然界で生き延びる手段として進化の過程の中で人間はこのマニュアル的思考を手に入れました。
アフォーダンスでは記憶は脳の中にはなく、環境の中にあるといいます。
進化に目的はなくただの適応だと環境変動説では教えます。

内田先生

内田先生

内田先生

内田先生

ゲシュタルト療法では以下の9つの原則があると教えます。
1:今に生きること、過去や未来ではなく現在に関心を持つこと
2:目の前に存在するものだけを問題とする事
3:想像はやめて現実を体験する事
4:不必要なことは考えない事
5:自分の気持ちを素直に表現する事
6:快、不快を全て受け入れること
7:~すべきだ、という第三者からの要求にまどわされないこと
8:自己責任を負う事
9:ありのままで生きること
この原則は進化学にそのヒントが隠されているのです。
病気とは気の病です 怪我とは我を怪しむことです。病気が怪我を生み、怪我が病気を大きくします。
病気と怪我は陰陽です。気とはファンタジーな話ではありません。
思考、思念、感情、精神、知性、本能、情動 これらもすべて気です。
動物は腸から生まれました。脳は進化の過程の下では一番後からできたものです。
動物の基本は感じて動き動いて感じるです。つまり感動です。
人間はそこに環境により適応するために思考、記憶、認知というものは手に入れたのです。
顔は内臓の一部分が表に表れたものです。表情は内臓をさします。
顔色は感情を示し、内臓の具合を示します。
呼吸は息方です。つまり生き方です。
東洋医学はとどのつまり呼吸を整え人生を改善する療法です。
生き方(息方)が変わらなければ病の根治は不可能です。
寝不足で高血圧になり心臓に負担をかけ、脳の障害を引き起こします。寝不足の原因はそのひとの欲です。

内田先生 内田先生

出世したい、お金が欲しい、名誉が欲しい、地位が欲しい、そして、高血圧になるのは進化上のシステム、生物のシステムでもあります。人間は哺乳類という動物のカテゴリーに属します。哺乳類の基礎は5つ。名誉欲、所有欲、色欲、食欲、睡眠欲、この5つです。
我々人間の基本はネズミや犬、馬やひつじと変わりません。ただ知性や理性が意味をつける。そこが違うだけです。
なぜ鍼治療が効果のある人と無い人がいるのでしょうか。なぜ効くときと効かないときがあるのでしょうか。
答えは、「条件は常に変化しているからです」生物は常に変化しています 一度たりとも同じはありません。
ゲシュタルトの思想は東洋医学の思想に近いです。
というより人間を診るなら西洋も東洋もありませんが、違いは風土と気候、そこから生まれる思考、思想、文化、風習だけです。感じ取ることと、感じる事は違います。
生物とは情報を自分に取り込み、必要な情報は保存し(同化)いらない情報は捨てる(異化)を行う事です
原因不明の病気はありません。必ず原因はあります。
しかし条件が複雑すぎてわからなくなっているだけなのです。
紹介した4冊、 よーく読んで つなげてみてください。
“つながり” 治療のキーワードです。

写真上:白版にイラストを書きながら解説
写真下:来校した卒業生と一緒に

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