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[鍼灸 学生] 学術大会へ参加してきました
2016年10月21日
掌敬会(同窓会)学生スタッフの新井が、今回は学術大会の様子をレポートします。10月12日(水)、私たちは、はるばる東京都の王子駅へとやってきました。学生はスーツを纏い、“特別な授業”を受けるためです。その名も…『東洋療法学校協会 学術大会』
今回のテーマは、『あはきの可能性―さまざまな現場で活躍するあはき師※』。第38回を数えるこの学術大会で、私たちは多くのことを学ぶことが出来ました。
※あはき師:あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師の略



さて、そもそも『学術大会』とは一体何なのでしょうか?
それは、日本全国の鍼灸マッサージの専門学校の学生代表者が、自
このうち、『ポスター発表』で、私のクラスメイト・松浦孝さんのグループが発表しました。




研究テーマを簡単に言うと…『四総穴』という、ツボの四天王にして、顔面を司るツボ “合谷(ごうこく)” に鍼(はり)を打つと、視力はよくなるのか?というものです。
結果はなんと!左目の視力が良くなったということでした!やはりツボには、はっきりと効果がでるものなんですね!ただ、左目の視力だけが良くなって右目のそれは特に変わらなかったこと、疲労感やストレスに関してはっきりとしたエビデンスが取れなかったことから、更なる実験と研究が必要だとも言っていました。今後の経過が待ち遠しいです。
またこの研究は、先日ご逝去されました米田先生が指導教員でした
ちなみに、他の発表には、円皮鍼(えんぴしん)という、肌に貼り付ける鍼を回しながら貼って、その回転の方向で皮膚を緊張or弛緩させて自律神経を調整する研究や、学生向けに、覚えにくい経穴(ツボ)や経絡(けいらく)の楽しい覚え方の研究などもありました。どの発表も、その一文字一文字に発表者の想いが溢れていて、素晴らしいものばかりでした。


学術大会のイベントは、それだけではありません。第一線で活躍している先生方の特別講演もありました。
午前の部は、福島県立医科大学会津医療センター付属病院副病院長の三潴 忠道(みつま ただみち) 先生のお話です。
テーマはスバリ!【地域医療の中のあはき師の役割】。
先生は漢方薬の専門家ですが、鍼灸に対して、「大変に臨床効果が高い」と絶賛されていて、先生が勤める病院でも積極的に鍼灸治療を取り入れているそうです。
講演の中では鍼灸と漢方薬を組み合わせて、現代医学では治癒が難しい様々な病気や症状に効果を上げていることが示されていました。
このように、現代医学で救いきれない患者さんの苦しみを、我らが東洋医学で助けることができると先生はおっしゃっていました。この連携を『補完代替医療』と言うそうです。先生が示してくれたこの可能性を目の前にして、なんだか胸の内から勇気と希望が湧いてきました。
「あはき師には、病院というステージでこんなにも活躍できる」との先生の情熱に、私たち学生の心は大きく燃え上がりました。
ただ、驚いたこともあります。それは、先生の病院では「鍼灸」は医療用語ではないとされ、「漢方外科」として扱われているということです。私たちにはまだまだ、越えなければならない壁があるということですね。
午後の部は、神奈川衛生学園の授業を以前担当して頂いていた、法政大学スポーツ健康学部 スポーツ健康学研究科 の准教授 の泉 重樹 (いずみ しげき) 先生です。
先生のテーマはコチラ【スポーツ現場におけるあはき師の役割】

スポーツに力を入れている神奈川衛生学園ではおなじみなテーマですが、アスレティックトレーナーの授業を取っていない私としては、とても新鮮なお話でした。
先生は、鍼灸マッサージ師の資格だけではなく、日本体育協会公認 アスレティックトレーナー(以下、AT) の資格をお持ちです。今回は、日本とアメリカのスポーツ事情の違いや、日米のATの活躍の比較をお話いただきました。
アメリカはスポーツに対する関心が高いことから、ATの需要が日本よりも圧倒的に多く、しかも、医療費が個人で負担するにはあまりにも高すぎるので、負傷の絶えないスポーツの現場では、予防医学の考え方が大いに発展しました。鍼灸はそんな状況にまさにピッタリ当てはまりました。泉先生も現地の鍼灸師に師事しながらプロのアメフトチームを診ておられ、そこでも鍼灸は大好評だったそうです。しかもアメリカのスポーツマンに人気なのは、なんと日本の鍼灸!
先生曰く、なにも特殊な技術を使っているわけではなく、ふだん日本で普通に行われているスキンタッチを用いた施術が人気なんだそうです。海を離れた遠くの地で、鍼灸師の新たな活路が見えた瞬間でした。
それに対して、私たちが住む日本はスポーツに対する需要がまだまだ少ないのが現状で、スポーツの普及とトレーナーの教育に力を入れているのが現状です。スポーツが普及すれば、国民が一丸となって、ストレスの魔の手に打ち勝ち現代社会を救うことも出来ると思います。一刻も早く、大国アメリカの水準に追いつけると良いですね。
こうして全ての演目が終わり、最後は閉会式です。このときの運営委員長・右田一弘先生の言葉がとても心に残りました。

「あはき師は、高度な機械も一定の建物も必要とせず、道具とベッドさえあればすぐその場で治療できる、速効性のある医療である。だから、現場を見ろ。未来のあはき師である君たちは、もっともっと機動性をもって動いてほしい。」

私はこの言葉をお守りにして、未来のあはき師としての道を歩みます。
そして次回の学術大会は、3年生の特別授業で、『小児はり』という、子ども向けの鍼のやり方を伝授するために、我が校にもいらっしゃった清水尚道先生率いる、森ノ宮医療専門学校が主催するそうです。
来年はどんな学術大会が繰り広げられるのか、今から楽しみです!


掌敬会学生スタッフ 東洋医療総合学科3年
新井 薫
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